今回はEclipseでマウスジェスチャーを利用する方法を紹介します。今回紹介するツールは、いわゆる「Eclipseのプラグイン」ではありませんが、このツールを利用してEclipse上でマウスジェスチャを実現できます。
マウスジェスチャーはマウスの動き(主にドラッグ)によって、戻る、閉じる、といったアクションを実行するものです。Operaなどのブラウザで利用されています。例えば、「Ｒ＋右」で次へすすむ、「Ｒ＋左」で前に戻る、「Ｒ＋右→左→右」で画面を閉じるといった、マウスの動きによるアクションの実行を行います。
図 マウスジェスチャー(画面はSleipnir)
Eclipseには、キーをさまざまなアクションに割り当てる、キーバインドの機能はありますが、残念ながらマウスバインドといった機能はありません。独自のエディタを作成すれば、マウスの動きをひろって、ジェスチャーを組み込むことは可能ですが、多くの既存のエディタでは、残念ながらマウスの動きに対してアクションを追加することはできません。
ここでは、マウ筋というツールを利用します。マウ筋は、ピロ氏が開発しているマウスジェスチャー用のツールで、様々なアプリケーション上でマウスジェスチャー可能にします。マウ筋は以下のURLから入手できます。
ピロ製作所
http://www.piro.cc/
ここでは、最新リリースの version 1.21 を利用しました。ダウンロードしたアーカイブを解凍し適当なディレクトリに保存します。マウ筋の利用法は簡単で、解凍したファイルの中のMauSuji.exeを実行するだけです(特にインストールなどは必要ありません)。マウ筋を起動すると、画面左上に「マウ筋ナビアイコン」が表示されます。
画面 マウ筋ナビアイコン
ナビアイコンは、現在のマウス操作(マウスジェスチャ)を表示してくれます。次の画面は、R押し下げから右、下、右とマウスを操作したときの表示です。マウ筋ナビアイコンの表示が不要の場合は設定で非表示にすることも可能です。
画面 マウ筋ナビアイコン(ナビゲーション中)
またタスクバーに「マウ筋常駐アイコン」が表示されます。
画面 マウ筋の常駐アイコン
この常駐アイコンを右クリックして、マウ筋のON/OFF、終了、設定の変更を行うことができます。
画面 マウ筋の操作
次にマウ筋に、ジェスチャーを登録してみましょう。マウ筋の設定画面は、常駐アイコンを左クリックで開きます。ここでは、Eclipseの「宣言を開く(F3)」アクションに「Rボタン＋↓」というジェスチャーを割り当ててみます。手順は次のようになります。
図 ジェスチャーの割り当て
図にすると手順が複雑そうに見えますが、特に難しくはなく、直感的に設定可能です。この設定で、マウスのRボタン＋↓で、F3キーが押されたのと同等のことになります。
次に、Eclipse上で設定したジェスチャを確認してみます。メソッドやクラスを左クリックで選択し、「マウス右＋下」で「宣言を開く」ジェスチャを実行すると、宣言が開かれることがわかります。画面はStringクラスの宣言を開いています。
画面 ジェスチャで宣言を開く(前)
画面 ジェスチャで宣言を開く(後)
ジェスチャに失敗すると、マウ筋ナビに「no entry」(そのジェスチャはないよ)と表示されます。マウスボタン押し下げからマウス移動までの待ち時間はデフォルトで 0ms なので、マウスボタン押し下げと同時にマウスを移動するような感じで使います。ジェスチャがはじめての人は、パソコンにはじめて触ってダブルクリックに手間取ったように、慣れるまで多少操作が難しく感じるかもしれません。待ち時間やマウスの移動量は、マウ筋の設定で調整可能です。
なお、「宣言を開く」の場合は、エディタ上のカーソル位置(マウスでなくキーのカーソル)のメソッドやクラスに対してアクションが実行されるので、一度左クリックなどでメソッド、クラスを選択しておく必要があります。
同様の手順で、よく使う機能にジェスチャをわりあててみます。進む、戻る、型階層を開くなど、ジェスチャで行えると、素早く新鮮です。
画面 よく使うジェスチャ
筆者の長年の夢であった、IEやEXCELライクなCTRL+ホイールでフォントサイズ変更も実現できした(TexTools利用)。
画面 ジェスチャでフォントサイズ変更(前)
画面 ジェスチャでフォントサイズ変更(後)
Javaコードをキーボードで入力しているときには、それほど使いませんが、ソースの解析、ソースレビュー、デモなどのときには、なかなか使い勝手がよいと思います。一度お試しあれ。
なお、Eclipse上でのマウスジェスチャにマウ筋を使うというアイデアはmatobaaさんにいただきました。この場をかりてお礼申し上げます。