スリランカに到着した。
飛行機から降りると、また深夜だった。
空港までGのおじさんが迎えに来てくれた。
40くらいの商社マンかと思っていたら全然ちがった。
(名前以外ほとんど何も聞かされていなかった)
まだ若くて、普通の日本人と違った匂いがして、とても面白い人だった。
初対面なのにとても親切にしてくれた。
おじさんはMさんと言い、コロンボの大学で日本語を教えているらしい。
日本政府からの派遣(だったと思う)で、給料は日本から出る。
コロンボで立派な家に住んで、お手伝いさんを雇い貯金をしてもお釣が来る。
2年くらいで各国を転々とするが、それも楽しいらしい。
Mさんの車で彼の家まで。
しばらく、そこにやっかいになることになる。
Gはと言うと、2、3日前旅に出てまだ帰ってこないらしい。
まったく人が来るというのに奴は・・・。
その夜は、ちょっとしたご馳走とスリランカのお酒をご馳走になった。
その後、部屋を一つ貸してもらった。
ベットに寝そべると天井にむき出しの巨大な扇風機が見える。
改めて、異国に来たことを認識させられた。
バンコクでは、違法臭い格安旅行の商売をしているという兄ちゃんと出会った。
日本を出て最初に話らしい話をしたのは、彼が初めてだった。
一歩、自分の世界を出ると、全然違う行き方をしている人ばかり。
なんか今までのあたりまえなんてウソのように思われた。
悲しいことがあったのに、もはや忘れかけている自分が恐ろしい。
見知らぬ土地も恐ろしい。
普段の生活を段々忘れていきそうになる自分が恐ろしい。
日常と旅、どちらが本当の自分か分からなくなる。
どちらが本当の自分かと言えば、日常の方だろう。
バンコクで会った兄ちゃんは、ほとんど日常を捨てているようだったが・・・。
このままだと、俺もどんどん日常から遠ざかっていきそうな気がする。
果たして社会復帰できるのか?
まだインドに行ってもないのに、すでに不安な俺であった。