バンコク空港についたのは、もう夜中だった。
ホテルは予約してあったが、行き方が分からん。
タクシーの呼び込みにつかまる。
怪しげだったが、もう夜中で、道もまるっきり分からなので、
乗ってみた。
英語は片言しか話せないが、地図見せてココって言ったら、
とりあえず目的地だけは伝わった。
道中、タクシーの運ちゃんが「ガール、ガール」なんて言うんで、
つい行ってしまいそうになる自分が恐い。
タクシーは怪しげなチャイナタウンに入っていく。
恐ろしげな人たちが並んでいる。
ここで、降ろされたら、俺はもう日本には帰れんな。
でも、とりあえず、ホテルには無事到着。
多少ボラれたみたいだが、今日はもうしょうがないな。
疲れはて、その夜は泥のように眠っていった。
初めての経験と、異国の緊張感が、
自分のどうしようもなく暗い気持ちを
心の奥底へ押しやっていった。